【10月7日 AFP】米連邦最高裁は6日、州による同性婚の禁止を憲法違反とした連邦控訴裁の判決を不服として5州が行っていた上告を棄却した。全米規模での同性婚合法化の是非をめぐる審理を先送りした形だが、これにより、新たに11州で同性婚が近く解禁される見込みとなった。

 上告していたのはインディアナ(Indiana)、オクラホマ(Oklahoma)、ユタ(Utah)、バージニア(Virginia)、ウィスコンシン(Wisconsin)の5州。同5州での同性婚合法化は、最高裁が上告を受理するかどうかの決定を下すまで保留とされていた。上告は受理されるとの見方が強かったため、最高裁の決定は驚きをもって受け止められている。

 最高裁は昨年、同性婚カップルには連邦法の下で異性婚カップルに認められているのと同じ権利と権限が認められると判断。その後、同性婚が合法化された州は19に増加。今回の決定により、この数はさらに増えて30州となる見込みとなった。

 首都ワシントン(Washington D.C.)を拠点とする同性愛者権利護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(Human Rights CampaignHRC)」によると、上告が棄却された5州で同性カップルが近く合法的に結婚できるようになる。さらに、3つの連邦裁判所管轄地区で判決が確定することになるため、ウエストバージニア(West Virginia)、ノースカロライナ(North Carolina)、サウスカロライナ(South Carolina)、カンザス(Kansas)、コロラド(Colorado)、ワイオミング(Wyoming)の6州でも同性婚が近く解禁される見込みだという。

 HRCのチャド・グリフィン(Chad Griffin)代表は同日首都ワシントンで、「数千組のカップルにとって喜ばしい日」になったと表現し、「きょうの最高裁発表がもたらした影響を直ちに感じられるようになるだろう」と語った。

 一方でグリフィン氏は、保守的な中部などの多くの州で同性婚が引き続き禁じられている以上、「異なった婚姻法が混在する複雑で差別的な状況」は残ると指摘。「受け入れられる唯一の解決策は全米で同性婚が認められることであり、その究極の勝利を確実に手に入れられるよう、改めて尽力していく」と声明で述べた。

 州レベルでの同性婚禁止は、現在13州でその合法性が争われている。世論調査によると、米国人の大半が同性婚を受け入れる考えを示しているのに対し、保守派やカトリック教会を含む一部の宗教団体からの反発は根強く残っている。(c)AFP/Robert MACPHERSON