【10月6日 AFP】エボラ出血熱が流行している西アフリカ諸国の一つ、リベリアの首都モンロビア(Monrovia)で、国連(UN)の世界保健機関(WHO)が訓練用のエボラ治療施設(Ebola Treatment UnitETU)を立ち上げた。エボラウイルスに感染しながら生き延びた元患者のボランティアの協力を得て「現場の緊張感そのまま」の施設で、アフリカ連合(AU)などから派遣された医師、看護師、医学生などが危険に対処する方法を厳しく訓練されている。

 エボラ出血熱との闘いの先頭に立ってきた緊急医療援助団体「国境なき医師団(Medecins Sans FrontieresMSF)」は、医療従事者の訓練こそが鍵だと主張し続けている。講師は受講者たちに、有能なスタッフに欠けば治療チームは役立たないと叩き込んでいるが、現状はどこもその通りなのだ。

 訓練期間は2週間。理論を教える講座が3日間、ETUでの演習が2日間、その後、担当講師が目を光らせる中、本物の施設で5日間の実習を行う。修了証書を受け取ったらすぐに、致死率60~70%という恐怖が待つ各地の本物のETUへ飛び込む。

「(訓練生の)多くは恐れている。誰もが同僚をエボラで亡くしたことがある」と、ウガンダとコンゴ民主共和国で起きた前回のエボラ流行を経験したWHOの訓練担当シェビン・ジェイコブ(Shevin Jacob)氏はいう。WHOが1日に発表した最新統計によると、今回の流行によるリベリアでの死者はこれまでに計2069人と、エボラが流行している西アフリカ諸国の中で最悪となっている。

 西アフリカの医療関係者は今回の流行以前には、このウイルスに遭遇したことがなかった。だから、自分たち自身を保護する方法も知らなかった。元々脆弱だった医療制度が今回の流行で崩壊した国々で医療関係者の命は犠牲となり、計200人以上が亡くなっている。