【10月3日 AFP】カナダで2日、世界初の大規模な炭素回収貯留(CCS)事業が本格的に始まった。

 14億カナダドル(約1360億円)規模のこの試験事業は、カナダ草原部のサスカチワン(Saskatchewan)州エステバン(Estevan)にあるサスクパワー(SaskPower)社の石炭火力発電所で行われている。地球温暖化につながる温暖化ガスの最大排出源である石炭火力発電所の閉鎖を検討している国がある中、今回の事業が成功すれば、安価な石炭による発電に改めて関心が集まるかもしれない。

 初期段階にあるCCS技術は、燃料燃焼や工業工程の過程で排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、地下に貯留するものだ。国際エネルギー機関(IEA)では、CCS技術は2050年までに世界全体のCO2削減量の6分の1を占めるようになると予測している。一方、世界の平均気温の上昇幅を産業革命以前の時代より2度未満に抑えるという目標が変わらない場合、CCS技術がなければ現在確認されている石油埋蔵量の3分の2は商業化できないとしている。

 IEAのマリア・ファンデルフーフェン(Maria van der Hoeven)事務局長は事業始動にあたって声明を発表し、CCS技術の歴史にとって「極めて重大な時」であり「この事業から得られる経験は非常に重要になるだろう。この発電所の事業者が世界に対し、発電所における大規模なCO2回収貯留はサイエンス・フィクションではなく、今日の現実なのだということを示せることを期待する」と述べた。(c)AFP