【10月3日 AFP】地上最速の動物として知られるチーターの生息数は過去100年間で激減しており、人間がその原因である可能性を示唆する国際的な調査結果が2日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 これまでの研究では、チーターを殺したり、その餌を横取りしたりする大型の捕食動物がチーターの個体数減少の原因として指摘されていたが、今回の調査結果はこれを否定するものだ。

 英クイーンズ大学ベルファスト校生物科学科(Queen's University Belfast's School of Biological Sciences)などの研究チームによる最新の研究では、人間による生息地への侵入や柵の設置、開かれた広大な生息地の喪失などが原因で、チーターは、捕食のために以前よりも長い距離の移動を強いられていることが明らかになった。

 同大のマイケル・スキャントルベリー(Michael Scantlebury)氏は、チーターの適応力と回復力は非常に高いレベルで保たれているとしながら、「ライオンやハイエナから獲物を奪うなど、他の動物種と張り合うこともできる。動物が自由に出入りできないようにする柵を立てたり、チーターの餌となる動物を乱獲したりするといった人間の活動が原因で、チーターはかつてないほどの長距離移動を強いられており、これが他のどの要因よりも多くのエネルギーを多く消耗させているというのが実態かもしれない」と述べた。

 研究チームは、アフリカ南部の調査地2か所で、野生のチーター19頭をそれぞれ2週間にわたって追跡調査した。

 研究チームはそれぞれの個体に、同位元素(アイソトープ)を含む水を注入し、集めたふんの分析から、どれ程のエネルギーが消費されたかを調べた。

「調査の結果、チーターのエネルギー消費量は、同じくらいの大きさの他の哺乳動物と大差ないことが判明した。チーターは(車に例えると)フェラーリ(Ferrari)のようなスポーツカーかもしれないが、大半の時間はのろのろと走行している」(スキャントルベリー氏)

 チーターが狩りで急加速して獲物を追いかけた場合でも、その間に消費するエネルギー量は比較的少なかった。エネルギーの大半を消耗するのは、獲物を見つけるために非常に長い距離を移動している間だった。

 研究チームは、チーターが直面している難題について理解を深めることは、自然保護論者らによる野生の個体保護に向けたより良い計画の立案を助ける可能性があると研究チームは指摘している。

 チーターの全世界の生息数は1900年の10万頭から現在は約1万頭にまで減少しているという。(c)AFP