【10月3日 AFP】土星最大の衛星タイタン(Titan)は、2009年に7年間続く「冬」に入り、南極上空にシアン化水素の雲が形成されたとの観測報告が1日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米国と欧州の探査ミッションで地球に送られてきたデータによると、謎多きタイタンは、液化炭化水素の湖が数多く存在し、窒素とメタンの濃い大気に覆われているという。

 タイタンと木星は、太陽からの距離が14億キロと非常に遠くにあるので、タイタンの四季は3か月ごとではなく、7年ごとに変わる。

 英ブリストル大学(University of Bristol)のニック・ティーニー(Nick Teany)氏率いる研究チームが発表した論文によると、米国の土星周回探査機カッシーニ(Cassini)は5年前、タイタンの南極上空にある雲を最初に発見したという。

 2年間にわたる観測の結果、この雲はシアン化水素の凍結微粒子でできていることが分かった。この発見は、宇宙の厳寒の地にあるタイタンにも、著しく厳しい冬が到来することを示している。

 同大は報道機関向け声明で、「タイタンの南極は、シアン化水素が凝固するほど極度の低温になっているに違いない」「上層大気の気温は1年足らずで50度余り下がり、マイナス150度の極低温に達したはずだ」と述べている。(c)AFP