【10月2日 AFP】米航空宇宙機器大手ボーイング（Boeing）の737型と777型旅客機の操縦室の表示装置（ディスプレー）が、無線通信「Wi-Fi（ワイファイ）」の影響で飛行中に画面が消える恐れがあるため、新たな機器に交換されることが決まった。

 米連邦航空局（Federal Aviation Administration、FAA）は1日に発表した耐空性改善通報で、交換の対象となるのは米国内だけで737型の後期モデル1149機と777型117機になると述べた。交換費用は1機に付き推定1万ドル（約110万円）で、交換完了期限は5年以内となる。

「離着陸など飛行の重大な局面において乗員に対して表示される、飛行に不可欠な情報の欠落を防ぐために（改善通報を）発行した」と、FAAは述べている。そういった情報の欠落があった場合、「復帰が困難な高度で航空機の制御を失ったり、CFIT（パイロットが気づかないまま，地表や山に衝突する事故）が起きたりする恐れがある」とFAAは付け加えた。

 ディスプレーはコンピューター画面でパイロットに高度や速度、方角、機体の傾きなどの操縦に不可欠な情報を表示している。Wi-Fi信号が表示装置と干渉し、画面が消える可能性があるとの恐れから、自動車のリコールに相当する耐空性改善通報が出された。民間航空機では、高度1万メートルでも乗客がインターネットにアクセスでき、人工衛星を利用したWi-Fiの設置が増えている。

 ディスプレーを製造するハネウェル・インターナショナル（Honeywell International）は声明を発表し、同社の機器がWi-Fiの影響で飛行中に不具合を起こしたことはないと述べた。「唯一の発生事例は、地上で行われた開発段階の試験の際だった」と同社は述べた上で、ボーイングと協力し、新たなディスプレーをすでに開発したと付け加えた。(c)AFP