対「イスラム国」軍事作戦の参加国、主な顔ぶれ
このニュースをシェア
【9月30日 AFP】米当局によると、イラクからシリアにまたがる広い範囲を支配下に収めているイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」と戦う有志連合に何らかの形で参加している国は50か国以上に上っている。
■米・仏・英
有志連合の中心である米国は、イラク領内のISの拠点に対する空爆を8月8日に開始した。当初イラク北部と西部に限定していた空爆はその後、首都バグダッド(Baghdad)に近い標的にまで拡大され、現在まで約200回にわたって実施されている。さらに米国は湾岸諸国の支持を得て9月23日、シリア領内への空爆を開始した。以降、ISに打撃を与えるために、主要な資金源となっている支配地域の石油施設を標的としている。
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、イスラム国に対する軍事作戦に地上部隊は派遣しないと明言しながらも、イラク軍への訓練や情報提供のために同国に1600人の兵士を派遣しいる。また米議会は、シリアの反体制派勢力の中の穏健派に訓練や装備を提供する計画も承認している。
米軍の作戦に9月18日に加わったフランスはそれ以降、イラク領内への空爆を2回実施している。さらにイラク北部のアルビル(Arbil)を中心に、クルド人部隊への武器供給や人道支援を行っている。一方、英下院はイラク領内のISを標的とした米軍主導の作戦への参加を、圧倒的多数の賛成で可決した。英国もクルド人部隊への重機関銃など軍需品の提供をすでに行っている。
■アラブ諸国
ISに対する湾岸アラブ諸国の攻撃の先頭に立っているのは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)だ。両国は最近行われたシリア領内のISへの攻撃でも主要な役割を果たした。米国防総省によれば、ISの支配下にある石油精製施設を爆撃した戦闘機16機中10機が、サウジアラビア軍またはUAE軍の所属だった。この攻撃で使用された弾薬の80%は両国のものが占めていたという。
これに先立ち、サウジアラビアはシリアの反体制派勢力のうち穏健派の戦闘員を招き、戦闘訓練を施し、軍需品も提供している。
この他、シリア領内のISに対する攻撃に何らかの形で参加したことを発表したのは、米海軍第5艦隊(US Fifth Fleet)が司令部を置くバーレーン、イラクとシリアの両方と国境を接するヨルダン、米軍施設のあるクウェートなど。ヨルダンのアブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)は、自国はISのような集団を「封じ込め、敗北させる集合的戦略」作りの「最前線にいる」と述べた。
■その他の国々
欧州ではベルギーがイラクへの介入に限定し、有志連合軍にF16戦闘機6機を提供している。デンマークも同型機7機を提供すると表明している。ドイツは軍需品の移送やイラクのクルド人部隊への訓練を行っている他、40人ほどの派兵も計画している。またアルバニア、チェコ、デンマーク、エストニア、ポーランドはISと戦っている部隊に軍需品や弾薬を供給している。さらにイタリアは軽火器を提供している。
オーストラリアは兵士600人をUAEに派遣している他、イラクのクルド人部隊への武器移送を行い、カナダは特殊部隊の隊員69人をイラクに派遣している他、アルバニアとチェコからイラクへの武器移送を引き受けている。
ISが29日、シリア北部の国境沿いにあるクルド人の町までわずか数キロの地点まで進攻したトルコは、国境付近の防衛強化のため戦車を配備。さらに、米主導の対イスラム国有志連合に参加するかどうか、今週中にも議会で審議する方針を明らかにしている。(c)AFP