【9月25日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の裁判所は23日、「国家分裂罪」に問われた著名ウイグル人学者のイリハム・トフティ(Ilham Tohti)氏に対し、無期懲役の判決を言い渡した。中国国営メディアによると、同氏は大学の講義で行ったウイグルに関する発言を理由に裁判に掛けられていた。

 国営新華社(Xinhua)通信の25日の報道によると、トフティ氏は録音された大学講義の中で新疆ウイグル自治区について、中国多数派の漢民族のものとの見方の否定につながる「当初はウイグル人のものだった」との発言などが問題視され、起訴されていた。

 検察側は、トフティ氏は講義での発言のほかにも、死傷者を出した昨年の新疆ウイグル自治区での衝突に関しても中国政府の説明を疑問視する発言を行うなどして、人々に「分離主義勢力」への参加を促したと主張していた。

 先週始まった公判では外国メディアは閉め出され、警察官が一帯を封鎖する中で行われた。判決には、人権団体に加えて米国や欧州連合(EU)も非難声明を出している。

 トフティ氏の弁護士、李方平(Li Fangping)氏はAFPの取材に、新華社の報道は正確でない部分が複数あると主張し、トフティ氏に上訴の機会が与えられる前に新華社が証拠を公表したことは違法だとして苦情を申し立てたことを明らかにした。

「極めて慎重を要する証拠だからと言われ、われわれは裁判前に(検察側の)証拠を見ることが認められなかった。それなのに今は判決が、まだ効力を発揮していないのに、国営報道機関との名目でメディアが証拠を公表している」(李氏)

 さらに李氏は、不正確な内容を伝えることでトフティ氏に対する世論を操作しようとしているのではないかとの疑念を語った。

 一方、少数民族問題を担当する中国当局者は25日、トフティ氏の裁判は中国の法に基づいて適切に処理されたと主張した。(c)AFP/Tom HANCOCK