【9月25日 AFP】ドイツ政府の諮問機関である倫理委員会は24日、同意に基づいたきょうだい間の性交渉に対する刑罰を廃止するべきとの勧告を発表した。

 ドイツの法律はきょうだい間の性交渉に2年以下の禁錮刑または罰金を科しているが、倫理委員会の25人の委員の過半数が、「社会的タブーを維持するための」手段として刑事法は正しくないと述べた。

 倫理委員会は、政策決定者が直面する倫理的に慎重さを要する課題を検討するために設置された、各分野の専門家で構成される諮問機関。倫理委は、ドイツ東部ライプチヒ(Leipzig)で4人の子どもをもうけた兄妹をめぐる裁判が大きな注目を集めたことを受け、この問題を検討した。

 この兄と、人格障害と診断されている妹は、家庭環境上の問題から成人してから初めて出会った。

 2人は2012年、2人の関係を認めてもらおうと欧州人権裁判所(European Court of Human RightsECHR)まで争ったが、同裁判所は欧州評議会(Council of Europe)加盟国間にこの問題についての合意が存在していないことを指摘し、ドイツの裁判所が下した兄への有罪判決を支持した。

 だが、欧州人権裁判所の決定を検討したドイツの倫理委員会は、刑法の目的は「倫理基準を強要したり自発的な市民の性交渉を制限するものではない」と結論づけた。倫理委員会の勧告には法的拘束力はないが、この勧告に対しアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる独政権の法務専門家は「誤ったメッセージ」を送っていると批判している。

 この問題に対する欧州各国の対応はさまざまだ。スペインとフランスには近親相姦に関する個別の法はない。一方、ドイツや英国、デンマーク、ギリシャ、スイスにはきょうだい間を含め近親相姦に関する法がある。(c)AFP