【9月25日 AFP】地球から約130光年の距離にある星を公転している海王星サイズの惑星を観測した結果、大気中の水蒸気の存在を確認したとの研究論文が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。生命の兆候である水が検出された系外惑星の中でも、最も小さく低温な惑星だという。

 大気中に水蒸気と大量の水素が存在することが判明した「HAT-P-11b」は、主星の周りを卵形の軌道を描き、4.9日周期の高速で公転している。大きさは地球の約4倍で、これまでに発見されている中でも最小クラスの系外惑星だ。

 惑星の大気は、惑星がどのように形成されたかや表面で何か起きているかを探る手掛かりになる。だが大気の詳細な観測はこれまで、木星と同等かそれ以上の大きさを持つ高温の「巨大ガス惑星」でしか行うことができなかった。HAT-P-11bとほぼ同じサイズとされる海王星は、太陽系で最も外側に位置する惑星で、大きさは木星の3分の1ほど。

 今回の観測には「透過分光法」と呼ばれる手法が用いられた。惑星が主星の前を通過する際に主星の光を望遠鏡で観測、気体が種類によって特定の波長の光を吸収することを利用して惑星の大気を調べる方法だ。

 海王星サイズの系外惑星はこれまでに4個観測されたが、いずれも渦巻く雲や塵(ちり)を多く含むもやがあるために星の光を分光計で正常に観測することができなかった。幸運なことに、HAT-P-11bにはこの問題が存在しなかった。

 米グリンネル大学(Grinnell College)のエリザ・ケンプトン(Eliza Kempton)氏は今回の論文に関する解説記事で、HAT-P-11bの大気は、太陽系の大型惑星の大気に似ていると思われ、大半が水素で、水蒸気の形で存在する酸素などの微量の重元素が含まれると説明している。

 今回の観測は、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)とスピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)を用いて実施された。(c)AFP