オオカバマダラの大移動、除草剤の多用が脅威に メキシコ専門家
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【9月24日 AFP】北米地域に生息するチョウ「オオカバマダラ」の越冬のためのカナダからメキシコへの大移動が、食料源を減少させる除草剤の多用により脅かされていると、メキシコの専門家らが23日、警鐘を鳴らした。
特徴的なオレンジと黒の羽を持つオオカバマダラは、メキシコの中部および西部の森林地帯にある越冬地に向かう途中、その幼虫が植物のトウワタの葉を食べる。
だが、カナダと米国の大豆とトウモロコシの畑で大量に使用される除草剤が原因で、幼虫のエサとなるトウワタが「大幅に減少」していると、メキシコ国家自然保護区委員会(National Commission for Natural Protected Areas、CONANP)のルイス・フエヨ・マクドナルド(Luis Fueyo MacDonald)委員は指摘する。
2013年~2014年冬季のオオカバマダラの個体数は、過去20年間で最も少なかった。環境保護団体「Grupo de Los Cien」のオメーロ・アリジス(Homero Aridjis)氏は「われわれは危機感を抱いている」とコメントしている。
オオカバマダラの保護について注意を喚起するこれらの声は、メキシコの政府当局者らと専門家らによるハイレベルでの会合を受けて発せられたものだ。同グループは10月にもカナダと米国のグループと会合を開く予定となっている。
2月には、メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)郊外で開催された北米指導者会議で、オオカバマダラの保護を確固としたものにするための作業部会が立ち上げられている。
専門家らはこれまでに、オオカバマダラの個体数減少の一因として、メキシコで行われている森林の違法伐採を挙げていた。
オオカバマダラの個体数は過去18年間で10億匹から3300万匹に激減しているが、絶滅の危機にあるとはみなされていない。(c)AFP