【9月24日 AFP】2012年にフランス南西部トゥールーズ(Toulouse)で起きた連続銃撃事件で射殺されたモハメド・メラ(Mohamed Merah)容疑者の義理の兄弟ら、フランス人イスラム過激派とされる3人の行方が、当局の失態により分からなくなっている。

 フランス内務省は、パリ(Paris)のオルリ(Orly)空港で、仏警察当局がトルコから送還されたメラ容疑者の姉妹スアド(Souad)さんの夫(29)を含む3人の身柄を拘束したと発表していた。だがその後、3人が実際にはパリには到着しておらず、南部のマルセイユ(Marseille)に着いてそのまま空港から立ち去ったことが判明した。

 内務省によれば、パリ行きの航空便のパイロットが3人の搭乗を拒否したため、トルコ当局が3人をマルセイユ行きの便に乗せた。だがこの変更をフランス当局が知ったのは3人がマルセイユに到着した後だったという。

 3人のうちの1人の弁護士は、3人が今どこにいるか分からないとAFPに語った。また別の弁護士は、3人は法的には逃亡中ではないと述べている。3人は、シリアに過激派を送り込むネットワークに関与していた疑いでトルコで身柄を拘束されたとみられている。

 2012年、モハメド・メラ容疑者はトゥールーズでジハード(聖戦)の名の下、2週間でユダヤ人学校の生徒3人を含む7人を殺害した。自宅アパートに2日間立てこもったメラ容疑者は、警察との銃撃戦の末、射殺された。

 フランス当局は、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が広い地域を掌握するシリアやイラクに渡航するフランス人が、帰国後に国内で攻撃を行う恐れがあるとして警戒を強めている。メラ容疑者も連続銃撃事件の前にパキスタンとアフガニスタンを訪れ仏情報当局の監視対象になっていたが、当局はその脅威を過小評価したとされている。(c)AFP