【9月24日 AFP】米軍が23日にシリア領内で実施した空爆の対象には、これまでほとんど存在が知られていなかった国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系過激派組織「ホラサン(Khorasan)」が含まれていた。ホラサンは、シリア内の拠点から欧米の標的を攻撃する計画を立てていたとされる。

 イスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」がシリアとイラクの広い地域を掌握し、一帯を恐怖に陥れる中、米国が巡航ミサイル「トマホーク(Tomahawk)」などの兵器の照準をイスラム国拠点のみならず、それよりはるかに小規模な、そしてこれまでシリア北西部でほぼ隠密に活動していたホラサンにも向けたことは、多くの人々に驚きをもって受け止められた。

 これまで見過ごされていたホラサンは、一夜にして注目を浴びることとなった。

 米国防総省は、ホラサンが欧米に対する「大規模な攻撃」を計画中だったとした上で、欧州あるいは米国に対する攻撃計画の「最終段階」にあったホラサンの戦闘員らを殺害したと発表した。

 専門家やバラク・オバマ(Barack Obama)政権によれば、アルカイダの元最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者の仲間や古参工作員らが率いるホラサンの存在は、以前から知られていた。メンバーは最大1000人ほどで、イスラム国の戦闘員推定3万1000人よりもはるかに小規模だ。

 エリック・ホルダー(Eric Holder)米司法長官が米ヤフー・ニュース(Yahoo News)に語ったところによると、米当局はホラサンによる攻撃を非常に警戒し、7月には攻撃計画を阻止するために米国到着便の乗客に新たな規制を設けたほどだったという。

 ホラサンが計画していたとされる攻撃の内容はこれまでほとんど分かっていなかったが、米当局は先週になってその計画を把握したと報じられている。米CNNテレビは情報当局筋の話として、ホラサンの計画には、歯磨き容器や爆発物に浸した衣類などの非金属製の爆弾の使用も含まれていたと伝えた。

 ベン・ローズ(Ben Rhodes)米大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は、ホラサンには「アフガニスタンやパキスタンからシリア入りしたアルカイダの中核をなす工作員ら」が含まれていると述べ、攻撃を実施した理由については、欧米に対する攻撃が「差し迫っていた」からと説明した。

 米国防総省によると、シリアに向けて発射された40発以上のトマホークのうちの大半が、アレッポ(Aleppo)近くにあるホラサンの潜伏先や訓練施設を標的にしたものだった。米高官によると、ホラサンに対する攻撃は、脅威を増すイスラム国への対抗策とは別の問題として、長きにわたって検討されていたという。(c)AFP/Chantal VALERY