米のシリア空爆にアラブ諸国参加、オバマ氏「単独の戦いでない」
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【9月24日 AFP】米軍に加え、米国と同盟関係にあるアラブ諸国は23日、シリア領内のイスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」を標的として、爆弾やミサイルによる激しい攻撃を行った。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はイスラム国に対する戦いは「わが国単独のものではない」と強調した。
米軍の軍事作戦に参加したのは、バーレーン、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の5か国。戦闘機や爆撃機、無人機が出動した他、米軍艦から巡航ミサイル「トマホーク(Tomahawk)」も発射された。
この空爆で、イスラム国と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員ら数十人が死亡したという情報もある。米国は空爆の標的について、欧米諸国に対する「差し迫った攻撃」を企図している過激派が含まれていたと明かしている。
先に隣国イラクで対イスラム国の空爆を開始しているオバマ大統領は、「この有志連合の力は、わが国単独の戦いではないことを世界中に示した」と表明。さらに、「米国は、国民を脅威にさらすテロリストの安全な避難場所を決して看過しないということが、米国に戦いを挑み、米国人に危害を及ぼそうとする者らに対し明示されたはずだ」とも述べた。
米国防総省は今回の空爆を「非常に有効だった」と評価した上で、イスラム国の拠点となっているラッカ(Raqa)やイラク国境付近で、イスラム国の要地や訓練施設、司令本部、装甲車などを標的に攻撃したと発表した。
この攻撃により、シリアとイラクの広い範囲を掌握し、カリフ(預言者ムハンマドの後継者)が統治するイスラム国家の樹立を宣言したイスラム国との戦いが、転換点を迎えたと言える。
また、米軍による空爆に参加したアラブ諸国がイスラム国と同じスンニ派であるという事実も、イスラム国との戦闘においては非常に大きな象徴的な意味を持つとみられる。
一方ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官によると、シリアと国境を接するもう一つのスンニ派国家で、これまで静観の立場を取っていた北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコも、米主導の対イスラム国有志連合に参加する意向を明らかにしているという。
ケリー氏は米ニューヨーク(New York)でのトルコ当局者との会談後に、「トルコはこの有志連合に含まれており、積極的にこの努力の前線に立つことになる」と述べた。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領も国営テレビでの演説で、トルコの貢献は「軍事・政治面をはじめとするあらゆる支援」の提供になるという方針を示した。(c)AFP