【9月22日 AFP】サルから大型のネコ科動物に至るまで野生動物をペットとして飼育する習慣があるコートジボワールでは、隣国でのエボラ出血熱の拡大を受け、人々がこの習慣を見直し始めている。

 同国経済の中心都市アビジャン(Abidjan)の動物園を訪れると、こうした懸念がすぐに証明された。この動物園は、野生動物がエボラ出血熱を媒介することを恐れる飼い主によって捨てられた動物の引き取りを始めた。

 動物園の一角にある緑色の檻は、捨てられたり寄付されたりした動物たちでいっぱいになっている。しかし、この地区は隔離対象となっているため、こうした動物たちの見学は許可されていない。

 ある檻の鉄格子の後ろでは、サルたちが、甲高い鳴き声や低いうなり声を上げ、興奮したような身振りをしている。こうした様子からサルたちがウイルスに感染していないことは明らかだが、それでも感染の可能性を排除するため隔離されている。

 2歳のチンパンジー「ジュリー」は、遊んでもらいたくて、懸命に自分をアピールしながら走り回る。3週間前にやってきた3歳のギニアヒヒ「シャルロット」は、檻の中を一心不乱に跳び回る。腹部と鼻が白い中型のサル「ルイーズ」は、そうした騒ぎをよそに、横木の上にじっと座っている。同じ檻に入れられた2匹の雄は新入りで、まだ名前がない。

 エボラ出血熱による死者は、コートジボワールとの国境が閉鎖されている隣国リベリアとギニアだけで約1800人。シエラレオネとナイジェリアを含めた4か国では2600人以上に上る。

 同動物園の獣医師、ダウダ・ソロ(Daouda Soro)さんはAFPに対し、「パニックを引き起こしている動物」に対処するよう、アビジャンの軍病院に緊急で呼び出されて行ってみると、そこには「眠そうにしながらも、空腹で震える」小さなサルがいたと語った。「パニックを引き起こしていたのは他でもない、エボラ出血熱だった」

 シャルロットは、飼い主によって道端に捨てられた。通りがかりの人から、ヒヒの身に危険が及んでいるとの連絡を受けたソロさんが、急いで現場に駆け付けてみると、シャルロットは「石やこん棒を持って彼女を殺そうとする」人々に取り囲まれていたという。