【9月21日 AFP】イラク北部でイスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の人質になっていたトルコ人46人が20日、無事解放されて帰国した。元人質らは家族との再会を果たすとともに、アフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)首相の歓迎を受けた。

 人質になっていたのはトルコの外交官とその子ども、特殊部隊の隊員ら。今年6月11日にイラク北部モスル(Mosul)の領事館で進攻してきたイスラム国に拉致されていた。トルコ政府は、解放された46人と一緒に拉致されていた領事館のイラク人スタッフ3人はすでに解放されていたことも明らかにした。

 ダウトオール首相はこの日の朝、人質解放を公表し、出迎えのためアゼルバイジャン訪問日程を切り上げて帰国した。解放された46人とイラクとの国境に近いシャンルウルファ(Sanliurfa)で面会し、首都アンカラ(Ankara)に向かう航空便に同乗した。

 同首相は、人質解放にトルコの情報機関と軍、警察当局が取り組んだと語った。また、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、トルコ当局が「あらかじめ計画された詳細な秘密作戦」を実行したと述べ、「(作戦は)徹夜で行われ、早朝に完了した。情報機関は初日から忍耐と志をもって事態に対処し、救出作戦でついに成功を収めた」と語った。

 作戦の詳細は明らかにされていないものの、民放のNTVテレビはトルコ政府が人質解放に向けて身代金を支払わずにイラクの地元当局と交渉したと伝えた。NTVが匿名の治安関係者の発言として伝えたところによると、この作戦に他の国は関与しておらず、イスラム国の戦闘員との交戦はなかったという。

 人質は解放されるまで8か所に分けて拘束され、トルコの情報機関が無人機などを使ってその居場所を追跡していた。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは、米国にとって重要な中東の同盟国となっている。ただ人質の身の安全への懸念からイスラム国に対する軍事作戦への参加や、米国などにトルコ国内の空軍基地使用を認めることには消極姿勢を示していた。(c)AFP/Dilay GUNDOGAN