【9月21日 AFP】フランスで詐欺や窃盗など多くの罪を犯して行方を追われている男(26)が、司法の手を逃れるため自分の死亡広告を新聞などに掲載して死んだと見せかける巧妙な計画を実行したが、葬儀にやって来たのは何も知らない祖母と、警察だった。

 男は地方紙ウエスト・フランス(Ouest-France)の印刷版とオンライン版に自らの死亡広告を掲載した。それには「セドリック・Lが9月11日木曜日に永眠いたしましたことを、彼の母、父、兄弟、姉妹、家族より皆様にご通知申し上げます。葬儀は9月16日火曜日10時30分より執り行います」などと書かれていた。

 これを見て不審を抱いた警察が葬儀会場とされた場所に行くと、遺体もなく、葬儀も行われておらず、困惑した容疑者の祖母がいただけだった。

 男は周到にこの計画を準備し、兄弟を装って葬儀会社と新聞社に電話をかけた。新聞社は葬儀会社に確認して、「きちんと」葬儀の情報の裏付けを取っていた。検察官は19日、男が死亡したという情報は「きわめて誇張されたもの」で、男はまだ生きていると述べた。

 現地弁護士会のベルトラン・ドニオ(Bertrand Deniaud)会長はAFPの取材に対し、「われわれは彼のことを非常によく知っています。彼には長い犯罪歴があり、未成年のときすでに裁判にかけられていました。われわれ全員は彼の死亡広告を見て少々驚きました」と語った。(c)AFP