受刑者の安楽死認める、強姦殺人などで30年収監 ベルギー
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【9月16日 AFP】(一部更新)安楽死を認めている数少ない国の一つであるベルギーで、複数の強姦(ごうかん)罪などで収監されている受刑者の安楽死が認められたことが明らかになった。
フランク・ファン・デン・ブリーケン(Frank Van Den Bleeken) 受刑者の弁護士が15日、同国のテレビ局に対し明らかにしたところによると、複数の強姦罪と強姦殺人罪1件で有罪判決を受けている同受刑者は、30年にわたり収監されている。数年前から政府に対し、「耐え難い精神的な苦痛」を理由に安楽死の承認を求めていた。ベルギー法務省の報道官も同日、同受刑者の安楽死が決まったことを確認した。
受刑者は向こう数日内に、収監されているブリュージュ(Bruges)の刑務所から安楽死のための処置を受ける病院へ移送されるという。
ベルギーは2002年、オランダに次いで世界で2番目に安楽死を合法化。2013年には、1年間に安楽死する人数としては最多の1807人が自ら死を選択した。
安楽死の承認には、希望者が「自発的に、熟考のうえ、繰り返し」安楽死を求めており、それを決断する能力があり、意識があること、という厳格な条件が定められており、これらの条件全てが満たされていなくてはならない。
ブリーケン受刑者の弁護士によれば、同受刑者はこうした法的条件を全て満たしており、過去4年間にわたって「これ以上、この状況下で生きることに耐えられない。もうこの痛みを受け入れられない」と感じてきたという。
フラマン語(ベルギー北部で話されるオランダ語の方言)のテレビ局VRTは、「私は人間だ。過去に何をしたとしても、人間だ。だから、安楽死を認めてほしい」とのブリーケン受刑者のコメントを伝えた。同受刑者がこの30年間に刑務所の外に出たのは母親の葬儀に参列した時の1度だけだった。
同受刑者は自らを社会への脅威と考えており、早期の仮釈放を辞退してきた。だが、収監されている状況は非人間的で耐え難いと主張し、オランダにある精神医療センターで治療を受けることを求め、それが認められない場合には安楽死を望むとしていた。
ベルギー当局は今年に入り、ブリーケン受刑者のオランダへの移送を認めないことを決定した。ベルギー国内にも年内に類似の施設が開設される予定であり、関係筋によると、そのことは同受刑者にも伝えられていた。しかし、すでに医学的には安楽死が認められると知らされていた同受刑者は、安楽死を求めることを選んだという。(c)AFP