【9月16日 AFP】マルタ沖の地中海で10日、密航業者らが多数の難民が乗った船を意図的に沈没させ、500人近くが水死したとみられると、国際移住機関(International Organisation for MigrationIOM)が15日発表した。IOMは、「近年で最悪の海難事件」と位置付けている。

 事件翌日の11日に貨物船に救助されたパレスチナ人2人がIOMに語ったところによると、シリア、パレスチナ、エジプト、スーダン出身の難民約500人が乗っていた船を密航業者らが故意に沈没させたという。

 今月6日にエジプトのダミエッタ(Damietta)を出港して欧州を目指していたところ、途中何度か船を乗り換えるよう業者らに強要されたという。

 別の船に乗っていた密航業者らは難民らに、さらに小さい船に乗るよう命令。しかし船の小ささを懸念した難民らの多くが乗り換えを拒否すると業者らは腹を立て、自らの船を難民船に衝突させて転覆させたという。

 IOMは声明で、「警察が捜査しているこの証言が事実だとすれば、近年で最悪の海難事件となる。事故ではなく、良心の呵責(かしゃく)や人命を尊重する精神を持たない犯罪者らによる大量殺人だ」という見解を示した。

 また14日にも、難民約200人が乗っていた船がリビア沖で沈没したが、36人しか救出されておらず、多数が死亡したとみられている。

 今年は北アフリカや中東から危険な海路で欧州入りしようとする難民の数が急増している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、地中海経由で欧州に渡ろうとして死亡あるいは行方不明になった人は今年これまでに2500人以上、今年6月以降だけで2200人以上に上っている。(c)AFP/Ella IDE