【9月15日 AFP】中国の長江(揚子江、Yangtze River)に生息する野生のカラチョウザメが、水質汚染や船の増加によって絶滅の危機にひんしていると国営新華社(Xinhua)通信が伝えた。昨年は繁殖例が全く確認できなかったという。

 カラチョウザメは、1億4000万年前から長江に生息しているとされるが、近年は経済成長に伴う水質汚染、ダム建設、航行する船舶の増加などを背景に、著しく生息数が減っている。

 新華社が13日に伝えた中国水産科学研究院(Chinese Academy of Fishery Science)の発表によると、2013年の調査では、32年前に生息調査を開始して以来初めて自然繁殖が確認できなかった。湖北(Hubei)省では卵を1つも発見できず、海に向かって回遊を始める8月にも長江を下る若いカラチョウザメは確認できなかったという。

「自然繁殖がないということは、カラチョウザメの個体数が増えないということだ。保護策を講じなければ絶滅してしまう」と、同研究院の調査員は新華社に語っている。

 カラチョウザメは、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)が指定する「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」で「絶滅危惧IA類(Critically Endangered、CR)」に分類されている。調査員によれば、1980年代には数千匹が生息していたが、現在は100匹程度しか残っていないという。

 中国当局は長江流域に三峡ダム(Three Gorges Dam)をはじめ多数のダムを建設しており、これが長江の野生生物の生息地を奪っているとの指摘がある。また、長江を行き交う船舶のスクリューに巻き込まれたり、漁師の網にかかったりして多数のカラチョウザメが死んでいる。(c)AFP