エボラ出血熱、治った人の血液で治療 実践にはリスクも
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【9月13日 AFP】西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱にかかった2人の米国人医師が、この病気が治った人の血液を輸血されていたことが明らかになった。世界保健機関(World Health Organization、WHO)も推進しようとしているこの療法だが、リスクもあると指摘されている。
エボラ出血熱には実用化された治療薬はなく、予防のためのワクチンもない。そこで医療専門家らは、一度エボラウイルスを撃退した人の体内に存在する抗体を別の人の体内に入れることができるのではないかと考え、エボラ出血熱が治った人の血液を治療に使うことを思いついた。
この療法は本来、狂犬病治療のために数十年前に開発されたもので、ヒトや動物の血液あるいは血液製剤を使用する。血液、あるいは血液から細胞成分と凝固成分を除いた血清を患者の体内に入れる。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)医学部のジェフリー・クラウスナー(Jeffrey Klausner)教授は、「ずっと昔は、ある種の感染症の治療に使う抗体を得るためにウマの血清が使われていた」と説明する。
米ネブラスカ(Nebraska)州のネブラスカ・メディカルセンター(Nebraska Medical Center)は11日、リベリアでエボラウイルスに感染して同センターで治療を受けている米国人医師のリック・サクラ(Rick Sacra)氏(51)に、エボラ出血熱が治った別の米国人医師ケント・ブラントリー(Kent Brantly)氏(33)の血漿(けっしょう)を輸血したことを明らかにした。
ブラントリー氏自身も、リベリアのモンロビア(Monrovia)でエボラ出血熱に苦しんでいた時に、この病気が治った子供の血液を輸血されていた。
サクラ氏の容体は快方に向かっているが、その理由がブラントリー氏の血漿なのか、サクラ氏に投与された別の実験薬なのか、あるいは単に近代的な病院で治療を受けているからなのかは分からないと医師らは話している。