【9月11日 AFP】国連貿易開発会議(UNCTAD)は10日、今年の世界経済は緩やかな成長に留まると述べ、真の景気回復に向けて必要とされる需要と投資を喚起するために賃金上昇を呼び掛けた。

 2014年版の貿易開発報告書(Trade and Development Report)によると、今年の世界経済の成長率は、2012年と13年の2.3%から上昇し2.5~3.0%になると見込まれている。発展途上国の成長は4.7%(前年4.6%)で、先進国の成長は1.8%(前年1.3%)の予測だ。

 だが、242ページの同報告書をまとめたアルフレド・カルガノ(Alfredo Calgano)氏によると、2007年の金融危機の前と似た兆候がみられているという。「株価バブル、金融緩和、実質的に規制されないままの金融部門…一方で不平等の問題は解決されていない」とカルガノ氏はAFPに語った。

■賃下げと緊縮財政が内需を阻害

 UNCTADの専門家らは「世界経済の回復への動きは依然弱い一方で、それを支える政策は不適切であるのみならずしばしば一貫性が欠けている」と警告している。

 報告書は、景気回復をもたらすとの信念のもと多くの先進国で実施された緊縮財政と賃金引き下げに特に批判的で、これらの政策が実際には「国内需要を抑え込んでいる」と主張。持続的な経済回復を達成することに関心がある国々は、逆に賃金を上昇させ、より平等な所得分配を推進するべきだと提言した。(c)AFP