【9月11日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」との闘いをシリアとイラクで展開する方針を表明したことにより、米軍の主導下で既に実施されている空爆作戦が今後拡大する他、現地の治安部隊を支援するため米軍特殊部隊の増派も必要になる可能性が高い。すでに実施されている軍事作戦と、予想される今後の情勢について分析した。

■シリア国内での軍事作戦

 シリアで活動するイスラム国戦闘員を標的とした空爆は、オバマ大統領が計画する軍事作戦における最大の賭けといえる。米国の空軍力を活用し得る能力を持ったシリアの穏健派反体制勢力が地上に展開していない以上、同国での空爆は、隣国イラクよりも限定的なものになる可能性が高い。

 専門家や元米政府関係者らは、空爆はシリア東部のイスラム国支配地域に的を絞ったものになるとの見方を示し、オバマ政権がパキスタンとイエメン、ソマリアで国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のメンバーを標的に行った無人機攻撃と同様の作戦が行われる可能性を指摘している。

 オバマ政権が、軍事作戦を無人機攻撃に限定するのか、あるいはイスラム国やシリア政府の支配地域で空軍機が撃墜されたり不時着したりする危険を冒してでも有人戦闘機・爆撃機を作戦に投入するかは、今のところ不明だ。

 また、シリアでの空爆実施には、現地のイスラム国の戦闘員らを対象とした情報活動の強化が必要となる。しかし、同国内の地上での情勢に関する正確な状況の把握に苦慮している米政府にとっては、これは困難な課題といえる。