【9月10日 AFP】英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は10日、来週実施されるスコットランド(Scotland)独立の是非を問う国民投票で独立に反対するようスコットランドの有権者に呼び掛けた。

 キャメロン首相は、野党・労働党(Labour Party)党首らのスコットランド訪問を前に、英紙デーリー・メール(Daily Mail)に寄稿し、独立を「暴挙」と警告した。

「英国は貴重で特別な国だ。それが危機にひんしている。だからスコットランドの人たちに疑いないようにせねばならない。われわれは、あなたがたがとどまることを切望している。われわれは、この連合王国が分裂することを望まない」と、キャメロン首相は述べた。

「仮に英国が分裂すれば、その分裂は永久なものになるだろう。故にあなたたちの選択ははっきりしている。(独立に)イエスと投票すれば暴挙。ノーと投票すればスコットランドの明るい未来だ。英国に残れば両者の長所をともに享受できるのだ」

 さらにキャメロン首相は、独立を拒否することで連合王国にとどまるだけでなく、債務や課税、支出に対するスコットランド議会の権限強化を選択することになると訴えた。

■スコットランドへのより強い権限の移譲案も

 スコットランド独立への支持が急上昇したことを受けて独立反対派の主要3政党は、より強い自治権限の移譲に向けた日程案を発表していたが、キャメロン首相はその日程案への支持も表明した。

 キャメロン首相率いる保守党(Conservative Party)はスコットランドでは不人気で、スコットランドから英議会に選出された59議員のうち保守党議員は1人しかいない。そのため、スコットランドの独立支持が優勢となった衝撃の世論調査が発表されるまで首相は目立った行動は取っていなかった。

 1か月前の世論調査では独立反対派が過半数を占めていたが、最新の調査では賛成派と反対派が横並びとなり、ポンドは10か月ぶりの安値をつけ、スコットランド関連企業の株価は下落した。(c)AFP