【9月10日 AFP】17歳未満で大麻を常用している10代の若者は、薬物を一切使用したことがない同年代に比べて高校を卒業したり、大学で学位を取得したりする可能性が約60%低いとする報告が10日、発表された。

 また17歳未満の日常的な大麻使用者は、そうでない者と比べ、後の人生で自殺を試みる可能性が7倍、他の違法薬物を使用する可能性が8倍高いという。

 英精神医学専門誌ランセット・サイキアトリー(Lancet Psychiatry)に発表されたデータは、オーストラリアとニュージーランドで行われた3つの長期研究の分析に基づいている。これらの研究は若者の幸福に関する調査で、数千人が13~30歳にかけて定期的に評価された。

 分析の結果、若者たちは17歳になる前の思春期中期にあたる1年間に、どの程度の頻度で大麻を使用したかによって「一切使用なし」から「毎日使用」まで5つのグループに分類された。これを若者たちの学歴と比較した。評価では、ジェンダーや社会経済的地位など結果に影響を及ぼし得る要因を可能な限り考慮した。

 報告によれば「17歳未満の大麻常用者は、まったく大麻を使用したことがない者たちに比べ、高校を卒業する可能性は63%、学位を取得する可能性は62%」低かった。

 研究者たちも認めている点として、こうした10代の常用者の一部の中には、在学中ではなく退学した後に大麻を使用するようになった者もいる可能性はある。しかし統計では明らかに大麻使用が増えるほど、中等教育を修了しない可能性が高いことが示されていた。

 また、自殺念慮と大麻常用に関連性があることを示す過去の研究を踏まえれば、大麻使用と自殺リスクの関連性に驚きはないと述べている。一方で、今回の研究は、10代の大麻使用者ではうつになる傾向や生活保護に頼る傾向がより高いとする見解は退け、データにそうした連関は見出せなかったとしている。

 豪国立薬物アルコール研究センター(National Drug and Alcohol Research Centre)のリチャード・マティック(Richard Mattick)氏は「米国の一部の州や南米のいくつかの国で大麻使用の非犯罪化、合法化を進める動きがあり、若者にとって大麻が入手しやすくなる可能性が広がっている中、我々の発見は特に時宜を得たものだと思う」と語った。(c)AFP