【9月10日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相による内閣改造に伴って重要ポストに起用された2人の議員が、過去に国内のネオナチ思想を掲げる極右団体の代表と共に撮影した写真が団体のウェブサイトに掲載されたことを受け、両議員は8日、事務所を通じ、過激思想の疑惑から距離を置くコメントを出した。

 総務相に就任した高市早苗(Sanae Takaichi)衆議院議員と、自由民主党の政務調査会長となった稲田朋美(Tomomi Inada)衆議院議員は、団体「国家社会主義日本労働者党(National Socialist Japanese Workers Party)」のウェブサイトに掲載されていた別々の写真の中で、同団体の山田一成(Kazunari Yamada)代表とツーショットで収まっている。

 これらの写真は、安倍首相が自身の周辺を右寄りの政治家で固めているとの疑惑をさらに過熱させることになるだろう。

 山田氏のブログ投稿は、ナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)への賛美や、2001年の米同時多発テロを称賛する内容を示している他、国家社会主義日本労働者党のウェブサイトでは、デモで「かぎ十字」を身につけた山田氏を写した映像が公開されている。

 2議員を写した写真には、「2011年6月か7月にかけて所謂、自由民主党の保守系議員を議員会館に訪れ、…会談した」との説明書きがある。

 高市議員と稲田議員の両事務所の関係者は8日、これらの写真が本物であり、過去数年の間にそれぞれ議員会館で撮影されたものであることを認めた上で、山田氏との政治的なつながりは否定した。

 高市議員の事務所関係者はAFPの取材に対し、山田氏について「何かの取材のときに取材者が連れてきた人で、写真やメモをとる係の人だった」と説明。「その人が誰か知らずに写真を撮った。(高市議員は)撮ってといわれれば撮るから」と述べた。

 事務所では、メディアからの問い合わせを受け、山田氏側に写真の削除を申し入れたという。この事務所関係者はさらに「うかつだった」と述べ、高市議員は山田氏の思想を「まったく支持していない。うちとしては迷惑だ」と話した。

 一方、稲田議員の事務所関係者も、同議員はネオナチ思想に賛成していないと言明。「支持していないし、そう誤解する人がいたら残念だ」と述べた。(c)AFP