【9月10日 AFP】米空軍が、「神よ、ご加護を(so help me God)」という文言を含む宣誓を拒否している無神論者の2等軍曹に、この文言で宣誓しなければ除隊するしかないと伝え、2等軍曹側が裁判に訴えようとしていることが9日、関係者の話で分かった。

 米ネバダ(Nevada)州クリーチ空軍基地(Creech Air Force Base)所属で氏名が明らかにされていないこの2等軍曹は先月、神に誓いを立てないという理由で、継続の再入隊申請を拒否された。

 同2等軍曹を担当する米国ヒューマニスト協会(American Humanist Association)のモニカ・ミラー(Monica Miller)弁護士は、「われわれが送った文書に対し、空軍は何の返答もしてきておらず、法廷外での協議に応じる意思も示していません」と語り、11月の再入隊の締め切りを前に、2等軍曹は連邦裁判所に政府を訴えざるを得ない状況になっていると述べた。

 空軍以外の米軍では宣誓で神への言及は要求されず、問題の句を宣誓文に含めるかどうかは任意になっている。過去には「神よ、ご加護を」の句を含まない文言で宣誓することを認めていた米空軍だが、2013年10月にその方針を変更した。

 ミラー弁護士は「私の知る限り、この宗教的な文言の使用をあらゆる場で全員に求めているのは空軍だけです」 と話し、空軍の要求は役職や他の職務に信仰を問うことを禁止する米憲法に違反すると指摘。「政府は神の存在を肯定する宣誓を、無宗教者に強制させることはできません」

 米空軍は以前から宗教、およびキリスト教伝道者が空軍内で果たす役割についての論争に悩まされてきた。数年前には米コロラド(Colorado)州の空軍士官学校でキリスト教福音派が大きな影響力を持つようになったため、上官が部下に宗教的信念を押し付けることを禁じる規則を導入。キリスト教団体から軍人の宗教的表現を抑圧するものだとして反発を受けた一方、上官のキリスト教関連の活動に参加しない部下が昇進などで不利になることを防ぐとして規則に賛成する声も上がった。(c)AFP