「切り裂きジャック」の正体、DNA鑑定で判明? 研究家が書籍出版
このニュースをシェア
【9月9日 AFP】歴史上最も残忍な連続殺人鬼の一人に数えられ、19世紀末の英ロンドン(London)を恐怖に陥れた「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」の正体を、DNA鑑定で突き止めたとする書籍が9日、出版される。
1888年、ロンドン東部ホワイトチャペル(Whitechapel)にあったスラム街で女性を次々と殺害した切り裂きジャックについてはこれまで、王族から首相経験者、靴職人までさまざまな説があったものの、その正体は謎に包まれていた。
だが、事件について研究を続ける実業家のラッセル・エドワーズ(Russell Edwards)氏はこの書籍で、犯行現場から回収された遺留品のショールから検出された2種類のDNA型が、被害者の一人と容疑者のうちの一人の子孫のDNA型と一致したため、切り裂きジャックの正体が明らかになったと主張している。
エドワーズ氏が犯人として特定したのは、アーロン・コスミンスキ(Aaron Kosminski)というポーランド系移民のユダヤ人で、事件当時は理髪店を営んでいた。
事件に関心を持ったエドワーズ氏は2007年、血痕のついた英ビクトリア朝時代のショールを競売で購入。このショールは、1888年9月30日に切り裂きジャックの4人目の被害者となったキャサリン・エドウズ(Catherine Eddowes)の殺害現場に残されていたとのいわく付きだった。
エドワーズ氏の依頼を受けたリバプール・ジョン・ムーアズ大学(Liverpool John Moores University)のヤリ・ロウヘライネン(Jari Louhelainen)博士(分子生物学)は、ショールの血痕から母性遺伝するミトコンドリアDNAの断片7つを取り出し、エドウズの直系の子孫にあたるカレン・ミラー(Karen Miller)さんの遺伝子と一致することを確認した。
さらに、ショールに残されたしみの光学分析で、精液が付着していることが示唆された。リーズ大学(University of Leeds)のデービッド・ミラー(David Miller)博士(分子雄性繁殖生理学)が細胞を検出し、DNAを分離することに成功。エドワーズ氏が系図学者の助力を得て、コスミンスキの女系の子孫を突き止め、DNA検査が実現した。
ロウヘライネン博士の分析により、この子孫が提供したDNAの型は、ショールに付着した精液のDNA型と一致。したがってエドワーズ氏は、コスミンスキが犯行現場にいたと結論付けた。