【9月7日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に移籍したアルゼンチン代表のアンヘル・ファビアン・ディ・マリア(Angel Fabian Di Maria)が6日、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)の決勝のドイツ戦当日に、当時所属していたレアル・マドリード(Real Madrid)から、試合に出場しないよう求める手紙を受け取っていたと明かした。

 5970万ポンド(約103億円)という英国史上最高額で名門マンチェスター・ユナイテッドへ移籍したディ・マリアは、準々決勝のベルギー戦で痛めた脚の回復が間に合わず、7月13日のドイツ戦を欠場し、チームも0-1で敗れた。

 ディ・マリアはこの日、アルゼンチンのラジオ番組で「決勝当日の午前11時にレアルから手紙が届いて、プレーしてはいけないと書いてあった」と明かした。

「破いたよ。考えるまでもなかった」

「(当時のアルゼンチン代表監督の)アレハンドロ・サベジャ(Alejandro Sabella)と話をしたら、けがを悪化させたくないと言っていた。全力を尽くして出られる状態へ持っていくと伝えたんだけどね」

 3日のドイツとの親善試合では驚愕のプレーを披露し、1得点3アシストで4-2の勝利に貢献したディ・マリアは、手紙には本当に動揺したと話した。

「決勝の日の朝は本当につらかった。人生で起こりうる最悪の出来事だったけど、ああいう試練が人生ではやってくるものなんだ」

 スイスとのW杯決勝トーナメント1回戦では、ディ・マリアはPK戦も見え始めた延長終了間際、この試合唯一となる得点を決めている。そのディ・マリアは、国のためにプレーする以上に大切なことはないと話した。

「僕が一番好きなのは代表チームへの参加だ。試合の重要性に関係なく、代表の一員でありたいんだ」と話したディ・マリアは、細身の体つきから、「フィデオ(パスタ)」というあだ名がついている。

 アトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)と対戦した欧州チャンピオンズリーグ2013-14(UEFA Champions League 2013-14)では、飛び抜けたプレーでレアルの逆転勝利を呼び込んだディ・マリアは、自身が金のために退団したというクラブの主張はまったくのでたらめだと語った。

「彼ら(レアル)は言いたいように言うけど、僕を手放して得られる高額の移籍金が、クラブの財政的には大歓迎だったんだ」

「僕は出ていきたいとは一度も言わなかったし、そう思ってもいなかった。選手もファンも僕を支えてくれた。けれどクラブは、僕を売ることしか考えていなかった」

(c)AFP