【9月4日 AFP】脳腫瘍を患う息子を英国の病院から医師の了承なしで連れ出し、逃亡先のスペインで逮捕されたブレット・キング(Brett King)さん(51)とナゲメ・キング(Naghemeh King)さん(45)の夫婦が2日、英検察当局による本国送還命令取り下げに伴い釈放され、翌日にスペインの病院で息子のアーシャ(Ashya King)君(5)との感動的な再会を果たした。

 ブレットさんは3日の記者会見で、英国の裁判所がアーシャ君の監護権を持っているため、息子に会うのは許可されないかもしれないと語っていた。だがスペイン南部のマラガ(Malaga)市の児童病院で匿名を条件にAFPの取材に応じた当局者によると、「夫婦はアーシャ君に問題なく面会できた。とても感動的だった」という。

 夫婦は、アーシャ君に英病院で提供されていたものとは異なる治療を受けさせることを希望している。だが当局は、夫婦が病院から息子を引き取るには、裁判所による保護監護権の裁定を待たなければならないと警告している。

 マラガ市があるアンダルシア地方医療衛生局のマリア・ホセ・サンチェス(Maria Jose Sanchez)局長は記者団に、英ポーツマス(Portsmouth)の裁判所から連絡があり、アーシャ君の保護監護権については司法省と協議してから「適切な決定」をすると語った。

 ブレットさんは3日の記者会見で、声を震わせながら「息子の余命は長くないのです。それなのに私たちは牢屋に入れられたのです」「息子を助けるために急いでいるだけなのです」と語った。

 また、英国の医師らが計画していた放射線療法では息子が「植物状態」になってしまうと主張。「5歳児への正しい治療ではない。子どもには強すぎる」と語った。夫婦は代わりにアーシャ君への陽子線療法を希望しており、治療費を捻出するためにマラガのアパートを売却する意向を示している。

 夫婦が直面した法的トラブルについて、英国では世論の支持が高まり、アーシャ君を両親に再会させるよう求める請願書には13万人が署名した。(c)AFP/Roland LLOYD PARRY