仏、ロシアへの軍艦納入を見合わせ ウクライナ情勢めぐり
このニュースをシェア
【9月4日 AFP】フランス政府は3日、ロシアと売却契約を結んでいたミストラル(Mistral)級強襲揚陸艦2隻のうち、最初の1隻の納入を「11月まで」見合わせる方針を固めた。対ロシア軍艦輸出をめぐっては、緊迫するウクライナ情勢を受け、欧米各国から厳しい批判の声が上がっていた。
仏政府は2011年、ロシアにミストラル級強襲揚陸艦2隻を総額およそ12億ドル(約1260億円)で売却する契約を締結。納入予定は1隻目が今年10~11月、2隻目が来年中としていた。
この契約に対しては、ウクライナ危機へのロシアの関与をめぐり各国から批判が高まっていた。しかし仏政権はこれまで、経済成長の停滞が続き、失業率が過去最高水準に達しているフランスにとっては極めて重要な取引であるとして、引き渡しの取りやめを否定していた。
英ウェールズ(Wales)で開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を翌日に控えた3日に発表した声明で仏大統領府は、「(ウクライナでの)停戦実現の見通しはあるものの、わが国がロシアに軍用艦を納入できる環境は今のところ整っていないと判断した」と述べている。
一方、仏外交筋はAFPに対し、契約が凍結されるのは、納入の期限であった11月までになると話している。同外交筋は「その期日になれば、経済的な影響が明らかになる」とした上で、契約の凍結が「フランスに100億ユーロ(約1兆3800億円)の損失を与える可能性がある」と述べた。(c)AFP/Marianne BARRIAUX