【9月2日 AFP】米国で、人気女優などの裸体を写したとされる写真が多数、インターネットに流出した問題は、サーバー上にデータを保存する「クラウド」サービスへのハッキングが原因とみられることから、米国の映画業界とIT業界を震撼(しんかん)させている。

 オスカー女優のジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)さんや人気歌手リアーナ(Rihanna)さん、トップモデルのケイト・アプトン(Kate Upton)さん、歌手のアヴリル・ラヴィーン(Avril Lavigne)さん、女優ヘイデン・パネッティーア(Hayden Panettiere)さん、サッカー米国女子代表のホープ・ソロ(Hope Solo)選手など多くの著名人が標的となった。

 米メディアは、米IT大手アップル(Apple)のクラウドサービス「iCloud」がハッキングされた可能性を報じているが、同社は今のところコメントを出しておらず、他のサービスが標的となった可能性もある。

 流出の規模は8月31日、掲示板サイト「4chan」のユーザーらが画像を共有し始めたことによって明らかになった。

 ゴシップサイト「ゴーカー(Gawker)」によると、匿名画像共有サイト「AnonIB」では、先週からユーザーらがハッキングに成功したと自慢していたという。一部のユーザーは偽名を使って身元を隠した上で、他のハッカーらに画像の売却や同様の画像との交換を持ちかけていたとみられる。

 ITニュースサイト「ザ・ネクスト・ウェブ(The Next Web)」は、紛失したモバイル機器を見つけるためにアップルが提供しているアプリ「iPhoneを探す(Find my iPhone)」のサービスの脆弱(ぜいじゃく)性をハッカーらが発見した証拠とされるものを報じている。同サイトによるとアップルは既にこのセキュリティーホールをふさいだが、ハッカーらの間にこの情報が拡散した後だったため、ネット上に保存されている個人ユーザーのデータの流出につながった可能性があるという。

 一方、一連の写真は複数の場所から数年間かけて収集された可能性があり、「iCloud」は流出元に含まれていなかったかもしれない、との報道もある。ニュースサイト「デッドスピン(Deadspin)」は、写真の購入を持ちかけられたと話す人物から8月上旬に接触を受けたことを明らかにしている。

 今回のハッキング被害の規模と、著名な女性らを標的とした手口を受け、ソーシャルメディア上では、プライバシー問題とインターネット上での女性嫌悪に関する議論が再燃している。

 今回の流出事件はまた、「iCloud」や「DropBox」、「GoogleDrive」といったオンラインデータ保存サービスを売り込んできたIT各社にとっても、広報活動上の課題を突きつけられる形となった。

 いくつかのIT系ブログは、私的なデータを安全に保存するため、高度な暗号化やパスワードの2段階認証、あるいはオンライン上にアップロードしないといったアドバイスを提供する記事を掲載している。(c)AFP