【8月28日 AFP】シリアに関する国連人権理事会(UN Human Rights Council)の独立調査委員会は27日、同国内の過激派掌握地域では、公開処刑や手足切断、むち打ち、磔刑(たっけい)といった残虐行為が頻繁に行われていると指摘するとともに、シリア政府が市民を標的に繰り返し化学兵器を使用したとする報告書を公表した。

 全45ページに及ぶ報告書は、委員4人で構成された調査委が今年1月20日から6月15日までを調査期間として、シリア政府や反政府派の複数の武装勢力によるさまざまな人道に対する罪と、戦争犯罪について調べた結果をまとめたもの。

 報告書は、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が支配する地域では「公開処刑が(イスラム教の聖なる日である)毎週金曜日恒例の見せ物になっている」と指摘。最年少で15歳の少年らの斬首や、手足の切断、むち打ちなどを広場で行い、子どもを含む住民らに見物を強要していると記している。

 またイスラム国は最近、支配地域である北部ラッカ(Raqa)県の異なる地域で、群衆に計2人の女性を石打ちによって殺害させたという。

 一方、報告書はシリア政府軍が今年4月の10日間、塩素とみられる化学薬品を入れた樽(たる)爆弾を北部地域に8回にわたって投下したと非難。国連としては初めて、化学兵器を使用したとして同国政府を直接非難した。

 また、2011年に始まったシリア内戦の初期に発生した残虐行為や死者の大部分の責任を指摘されている政府軍が、さらに多くの一般市民を対象とした虐殺、拷問、性的暴行に加担してきたと批判した。(c)AFP/Nina LARSON