セイヨウミツバチ14個体群のゲノム比較、個体数保護の研究に
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【8月25日 AFP】セイヨウミツバチの複数の個体群でゲノムを解析・比較した研究の結果、セイヨウミツバチの起源はアフリカではなくアジアである可能性が高いことが分かった──。これは米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)に発表された研究結果のほんの一部で、確認された免疫力や気候への適応力における進化の痕跡が、ハチの個体数保護のための今後の研究で役立つことが期待されている。
研究チームは、欧州やアフリカ、中東、米国、ブラジルのセイヨウミツバチ14個体群、140匹のゲノムを解析・比較し、ハチが過去30万年の間、生存の脅威に対してどのように対応してきたのかを調べた。
私たちが食べる果物や木の実、野菜の多くは、ミツバチにより受粉が行われている。しかし現在、ミツバチの個体数は世界的に減少しており、食料安全保障に関する懸念が日々増している。
論文を発表した国際研究チームは、免疫力や気候への適応力といった機能向上の進化的痕跡をセイヨウミツバチの約3000の遺伝子の中に発見したとしており、この情報を基に今後、蜂群崩壊症候群の原因が疑われる「ミツバチヘギイタダニ」などに対するより強い抵抗力を持つミツバチの生産に向けた基礎構築が可能になるとしている。
論文の共同執筆者であるスウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のマシュー・ウェブスター(Matthew Webster)氏はAFPに対し、「アフリカと欧州のセイヨウミツバチのゲノムを比較し、異なる配列を特定した。このような配列によって、アフリカの個体はミツバチヘギイタダニに対するより強い抵抗力を持つのかもしれない」と述べた。
また「こうした遺伝的差異を特定することで、抵抗力が高い理由を理解することもできる。病気に強いミツバチを欧州や北米で生産するための一助となる可能性もあり、個体数減少に対抗するための主要な一歩となるだろう」と続けた。(c)AFP