【8月25日 AFP】ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」の指導者アブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者は、AFPが24日に入手した動画の中で、同組織が今月掌握した同国北東部の町グウォザ(Gwoza)について、カリフ(預言者ムハンマドの後継者)が統治するイスラム国家の支配下に置かれたと宣言した。

 一方のナイジェリア政府軍はシェカウ容疑者の声明を否定。「ナイジェリア国家の主権と領土の一体性は現在も無傷だ」との声明を発表した。

 シェカウ容疑者は7月に公開した動画の中で、イラクとシリアの領土の一部を掌握したイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の指導者で、自身をカリフかつ「全イスラム教徒の指導者」と主張するアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者への支持を表明していた。

 しかし、シェカウ容疑者は最新動画の中でバグダディ容疑者に対する自身の立場を明確にしておらず、グウォザについての言及がバグダディ容疑者の呼びかけに応じたものなのか、それともナイジェリア国内での新たなカリフ制国家樹立を意味しているのかも不明だ。

■民間人処刑や惨殺映像も

 動画では、シェカウ容疑者の25分間におよぶ演説に続き、携行式ロケット弾などの武器を搭載した車列や、重武装して路上を行進するボコ・ハラム戦闘員らが写っている。映像からボコ・ハラムはナイジェリア軍基地を掌握し、武器や多数の弾薬、燃料などを奪ったものとみられる。

 さらに動画の後半になると、民間人とみられる男性約20人が後ろ手に縛られた状態で道端にうつぶせに寝かされ、至近距離から銃で撃たれる映像や、女装して町を脱出しようとしたとされる男性2人がシャベルで撲殺される映像、既に多数の遺体で埋まった塹壕らしき溝の脇で2人が銃殺される映像など、処刑とみられる残忍な場面が続いている。(c)AFP/Aminu ABUBAKAR