【8月24日 AFP】アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は23日、訪問先のウクライナの首都キエフ(Kiev)でペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領と会談し、親ロシア派と改めて停戦するよう強く要請した。

 メルケル首相は、ウクライナ政府軍と親ロシア派の4か月に及ぶ戦闘を終わらせるため、「双方による停戦と効果的な国境管理」を呼び掛けた。また「領土の一体性とウクライナが良い状態であることが不可欠だ」と述べ、欧米寄りのウクライナ指導部を支持する姿勢を示した。

 一方でメルケル首相は報道陣に対し、既に欧州連合(EU)と米国から制裁を受けているロシアについて「状況に進展がみられなければ、さらなる制裁の検討も排除できない」と述べ、いっそうの懲罰的措置を取る可能性もあると警告した。

 ポロシェンコ大統領は、ウクライナ東部に「平和の時が来ている」とした上で、「ウクライナは、欧州のパートナーや全世界と共に、戦闘の停止を目指してあらゆる手段を講じていくが、そのためにウクライナの主権、領土の一体性、独立を損なうつもりはない」と述べ、戦闘を終わらせるためにウクライナの主権を犠牲にすることはない、という姿勢を示した。

 ポロシェンコ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領、EUの代表らは26日にベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で会談することになっている。

■支援物資運んだロシアのトラック、全て帰国

 22日にロシアがウクライナ政府の許可を得ないまま、親ロシア派の支配下にあるウクライナ東部のルガンスク(Lugansk)に支援物資を積んだトラックの車列を送ったことに対し、ウクライナ政府は「直接侵略」と反発し、緊張が高まっていた。

 ウクライナとロシアの国境にいる欧州安保協力機構(OSCE)の監視員はAFPに対し、ロシアのトラックは全て、ウクライナ時間23日午後1時(日本時間同日午後7時)ごろまでに全てロシア領内に戻ったと述べた。(c)AFP/Max DELANY and Peter WUETHERICH with Nicolas GAUDICHET in Donetsk