エボラに似た出血熱の実験治療で成果 研究
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【8月22日 AFP】実験薬を用いた治療で、エボラ出血熱に似たウイルス性出血熱のマールブルグ(Marburg)病を引き起こすウイルスに感染したサルを生存させることに成功したとの研究が、20日の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に掲載された。研究は、エボラに対しても似たような治療薬を開発できる可能性を示唆している。
マールブルグウイルスはエボラウイルスと同じ科に属するウイルスで、感染し発症すると出血や発熱、嘔吐、下痢などを起こす。致死率は25~80%で、エボラと同様に体液との接触で感染する。
研究チームが試験を行ったのは、カナダの製薬会社テクミラ・ファーマシューティカルズ(Tekmira Pharmaceuticals)が開発した薬。サル16匹に投与した。
研究ではサルを致死量のマールブルグウイルスに感染させ、1つの集団には感染から30~45分後に薬が投与され、別の集団にはそれぞれ感染の1日後、2日後、3日後に薬が投与された。
結果、4集団の全てのサルが生存したと、論文主著者でテキサス大学医学部ガルベストン校(University of Texas Medical Branch at Galveston)のトーマス・ガイスバート(Thomas Geisbert)教授(微生物・免疫学)は述べた。
一方、マールブルグウイルスに感染させ、薬が投与されなかった対照群のサルは、感染1週間後から全頭が死んだ。
感染3日後の投与でも効果を示したことについて、ガイスバート氏は記者団に「この技術の現実での実用性」を示すものだと語った。
■エボラ薬、FDAファストトラックに指定
研究チームは、2010年に英医学誌「ランセット(Lancet)」に発表した研究で、同じ技術を用いてサルをエボラウイルスから完全に防護できる治療を開発することができるかもしれないと指摘していた。
「この技術はエボラ対策に有用な可能性がある」とガイスバート氏は語った。サルでの実験では副作用についても「問題はなかった」という。
テクミラは、エボラ治療薬「TKMエボラ(TKM-Ebola)」の人での安全性を検査する臨床試験の第1段階をすでに開始しており、3月には米食品医薬品局(US Food and Drug Administration、FDA)から同薬のファストトラック指定(優先審査指定)を受けたと発表している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN