【8月22日 AFP】英国人の老夫婦が夢見た陽光降り注ぐ南仏での穏やかな隠居暮らしは、隣人の手によって自宅の窓がふさがれ、玄関前に壁を築かれたことで悪夢と化した。

 騒動が起きたのは、ピレネー山脈(Pyrenees)の麓にあるブルゲロル(Brugairolles)村。驚いた村人たちは、閉じ込められた老夫婦を救出しようと玄関前の壁を引き倒したり、釘で打ち付けられた窓やドアをこじ開けたりした。

 70代のフェイス・ダイソン(Faith Dyson)さんとジョン・ダイソン(John Dyson)さん夫婦を苦しめたのは、不動産価格高騰のもたらすよそ者に腹を立てた地元住民ではない。ダイソン家の隣に暮らす別の英国人カップル、ロバート・ダンロップ(Robert Dunlop)さん(67)とクリスティーナ(Krystina)さん夫婦だ。

 ダンロップ夫婦は、共有のものとみなされている通路を自分たちの所有地だと主張し、ダイソン夫婦が不法侵入したとかねて憤慨していた。

 村の住民たちがAFPに語ったところによると、ダンロップ夫婦は当初、大型ワゴン車でダイソン家の正面玄関の前をふさいだ。続いて、ダイソン家の窓のよろい戸を釘で打ち付け、玄関ドアの前に木製の柵をセメントで固定して、ダイソン夫婦が裏庭からしか自宅に出入りできないようにしたという。

 そして、とうとう先週、ダイソン夫婦が買い物に出かけた隙に、ダンロップ夫婦はダイソン家の2階にまで達するレンガ壁を築き始めた。

「それで、村全体が18日に団結したんだ」と、ダイソン夫婦救出作戦を率いた地元住民の一人、ジャノー・ガック(Jeannot Gach)さん(83)は語った。