【8月19日 AFP】(写真追加)シリア北東部カミシリ(Qamishli)で、イスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の攻撃を逃れてイラクから来たクルド系少数派ヤジディー(Yazidi)教徒の女性が五つ子を出産した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員が18日、明らかにした。

 匿名を希望したUNHCR職員によると、この女性は シリア出身でイラク人男性と結婚したヤジディー教徒のタマーム・ラマダン(Tamam Ramadan)さん(27)。カミシリの病院で14日、帝王切開で男児2人、女児3人の五つ子を出産した。5人とも健康だという。

 ヤジディー教を異端視するイスラム国がイラク北部の広い地域に攻勢をかけ、シリア第2の都市モスル(Mosul)を制圧したため、タマームさんは6月中旬、ヤジディー教徒が多い北部の街シンジャル(Sinjar)に逃れた。だがシンジャルも今月3日、イスラム国の手に落ちた。

 幸いタマームさんは、イスラム国がシンジャルに接近しつつあった7月末に同市を脱出。家族と共に2日間歩き続け、シリアとの国境にたどり着いたという。

 五つ子を出産後、タマームさんはカミシリ近くのタルアル(Tal Alu)で家族と生活している。だがUNHCR職員によると、人道状況は厳しく、五つ子たちのミルクを入手するのも困難な状況だという。

 クルド人が多数を占める街としてはシリアで最も大きいカミシリは現在、シリア政府とクルド人治安部隊の支配下に管轄下にあり、3年以上に及ぶシリア内戦の戦禍をおおむね免れている。(c)AFP