【8月16日 AFP】ウクライナ政府は15日、同国領内に侵入したロシア軍の装甲車の大半を破壊したと明らかにした。両国国境をはさんだ緊張が急激に高まった。

 ウクライナ大統領府は声明で、ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領が英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相に、ウクライナ政府軍砲兵隊が国内に入った装甲車の小規模な車列の「かなりの部分」を破壊したと語ったと発表した。

 これに対しロシア国防省は、装甲車の車列なるものは「幻影」だと退け、親ロシア派武装勢力にロシアが武器を提供しているという欧米側の主張を改めて否定。しかし北大西洋条約機構(NATO)のアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)事務総長は、約20台の装甲車が国境を越えるのを目撃したとの英メディアの報道を受け、「ロシアからウクライナ東部への武器と戦闘員の流入の継続が見られる事実を確認するものだ」と述べた。ウクライナとロシアの全面戦争に拡大するかもしれないとの不安から、欧米の主要株式市場は下落した。

 一方、ウクライナ軍に包囲されている親ロシア派支配都市に人道支援物資を届けるとして12日にモスクワ(Moscow)を出発した約280台のトラックは15日、ウクライナ国境まで約25キロのカメンスク・シャフチンスキー(Kamensk-Shakhtinsky)の町外れに到着した。

 同行しているロシア非常事態省の職員が、10台ほどのトラックの荷台の中身を集まった報道陣に見せた。粉ミルク、インスタント食品、飲料水のボトルなどだった。「隠しているものなどないのがお分かりになったでしょう。これらのトラックが積んでいるのは人道支援物資だけなんです」

 あるドライバーが「いつまでここにいるのか分からない。今ちょうど妻から電話があったのだが、来週の月曜かもしれないし、2週間かもしれないと言っておいた」と話していたところ、非常事態省の職員が突然「何も知らないくせにしゃべるな」とドライバーの話をさえぎった。

 ここ数日、トラックの積み荷は実際には武装勢力への軍事的支援なのではないかと疑うウクライナ側とロシア側の間で論争が続いている。(c)AFP