【8月17日 Relaxnews】皮膚がんに対する恐怖心のほうが、実際に皮膚がんを発症する確率を示した統計よりも、日焼け止めを使う動機になりやすい――米ニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo, The State University of New York)の研究で、このような可能性が示唆された。

 研究を率いたマーク・キビニエミ( Marc Kiviniemi)助教(地域保健・保健行動学)は、米国立がん研究所(National Cancer Institute)が約1500人を対象に行った別の研究で収集されたデータをまとめた。

 研究では、皮膚がんの既往歴がない人から選ばれた被験者に、日焼け止めの使用状況や皮膚がんに対する懸念、がん発症リスクなどに関する質問に回答してもらった。

 必ず日焼け止めを使うと答えた被験者は14%にとどまり、32%が全く使わないと答えたが、個人レベルでは外出前に日焼け止めを使う理由として、日焼けによる皮膚がん発症リスクが検討されていた。

 キビニエミ氏は、専門用語で「リスク認知」と呼ばれるこうした懸念について、合理的でない影響だとして研究者や医療関係者が軽視する傾向があると指摘。「今回の発見は、臨床医が日焼け止めの使用を奨励する際に、もっと人々の感情を考慮したほうがいいかもしれないことを示している」と述べている。

「リスクに関する教育情報を提供するだけでなく、がんについてどのように感じるか、どれくらい心配かを考えるよう促すことが、予防行動を引き出す鍵になり得る」(キビニエミ氏)

 この研究は、学会誌「Journal of Behavioral Medicine(行動医学研究)」に掲載された。

■10代の傾向は

 一方、米コロラド大学がんセンター(University of Colorado Cancer Center)が1月に行った研究では、10代の若者が日焼け止めを使う理由は健康面より、美容上の懸念が大きいことが示されている。

 研究チームは地元の高校生50人を2つのグループに無作為に分け、アンケートを行って日焼け止めに関する知識を調べた。研究では、1つのグループに皮膚がんリスクに関するビデオを、もう一方のグループには日焼けによる肌の早期老化に関するビデオを見せた。

 6週間後に両グループに再度接触したところ、日焼けによる肌の早期老化に関するビデオを見た方のグループには美容をめぐる意識向上がはっきりとみられ、定期的に使う日焼け止めの量も大幅に増えていた。しかし、皮膚がんリスクのビデオを見たグループでは、日焼け止めの使用習慣にほとんど変化は見られなかったという。

 同センター研究員でコロラド大医学部(University of Colorado School of Medicine)皮膚科臨床研究所のエイプリル・W・アームストロング(April W. Armstrong)副代表(医学・公衆衛生学)は、「10代の若者に紫外線にさらされると皮膚がんを発症する恐れがあると警告しても、あまり効果はない」と指摘。若者の生活習慣を変えることを医師の最終目標とするならば、「正しく啓発する必要がある。今回の場合は、健康よりも容姿への日焼けの影響を強調することだ」「若いうちから日焼け止め使用の習慣を身につける手助けができれば、高齢になってからの皮膚がんリスク抑制につながる」と述べている。(c)Relaxnews/AFPBB News