イラク北部の少数派に「大量虐殺」の危険性、国連が警告
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【8月13日 AFP】国連(UN)は12日、イラク北部のシンジャル山(Mount Sinjar)で最高で3万人のクルド人のヤジディー教徒やキリスト教徒ら少数派が、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」の脅威にさらされており、人道的状況も悪化する中、「大量虐殺(ジェノサイド)の可能性」に今もなお直面していると警告した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のエイドリアン・エドワーズ(Adrian Edwards)報道官は、シンジャル山には2万~3万人がいると記者団に語り、国連の少数派の権利に関する問題の専門家リタ・イザク(Rita Izsak)氏は「これらの人々が数日以内、あるいは数時間以内の大規模な残虐行為と大量虐殺の可能性」にさらされていると警告した。
12日には、同山がある地域に閉じ込められている人々への支援物資を運ぶヘリコプターが離陸の際に墜落し、パイロットが死亡した他、ヤジディー教徒の苦境を国際社会に訴えていたヤジディー教徒のビアン・ダクヒル(Vian Dakhil)議員が負傷した。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると同紙記者1人も負傷した。
米フロリダ(Florida)州の米中央軍(US Central Command)の発表によると、米軍は12日夜、シンジャル山に6回目の支援物資の空中投下を実施し、食糧や水などの包み108個を投下した。
英国は、「他の寄与国」からのクルド人戦闘員のための軍事物資を輸送することに合意したと発表した。
またオーストラリアのトニー・アボット(Tony Abbott)首相は13日、イラクでの人道支援物資の空中投下に同国も参加することを表明するとともに、より大きな軍事的な関与の可能性も排除していないと述べた。(c)AFP/W.G. Dunlop