ウクライナ東部、砲撃で受刑者が脱走 一部は刑務所に戻る
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【8月12日 AFP】ウクライナ東部で10日夜、厳重に警備された刑務所が砲撃を受けて損壊し、多数の受刑者が脱走した──だがその数時間後、ある受刑者の母親は脱走した息子を車で刑務所に連れ帰った。
母親は、親ロシア派が支配するドネツク(Donetsk)西部にある刑務所の外で車に乗り込みながら、AFPの取材に「息子自身が言ってました。脱走とみなされないために戻らねばならないと。私たちは法律に従って全てのことを行っています」と語った。
車の窃盗でまだ4年の刑期が残っている息子は、10日夜に政府軍の砲弾が刑務所を直撃した際に脱走した受刑者106人のうちの1人。
刑務所の職員は、受刑者らが「パニック」で脱走したと語っている。砲弾の直撃で受刑者1人が死亡し、複数が負傷したという。
脱走した受刑者のうち34人は11日までに刑務所に戻った。職員はAFPの取材に、脱走した受刑者のうち多数がまだ行方不明だが、近くに潜伏している可能性もあると語った。
「(息子によると)施設に何らかの砲撃があり、外に飛び出すと頭部のない男が倒れていた。息子は怖くなり、弾丸のように逃げ出した。どうやって自宅まで戻ってきたのかも覚えていないと言っていた」と母親は説明した。
ドネツクの奪還を宣言したウクライナ政府軍は同市を包囲し、ここ数日、中心部を激しく砲撃している。砲弾が病院や住宅に着弾し、民間人犠牲者の報告も増えている。
ウクライナ東部では4か月前に始まった激しい衝突により1300人以上が死亡、28万5000人以上が避難生活を送っている。(c)AFP/Anna MALPAS