【8月9日 AFP】長崎は9日、69回目の原爆の日を迎え、田上富久(Tomihisa Taue)長崎市長は平和祈念式典で読み上げた平和宣言の中で、集団的自衛権行使をめぐり高まっている懸念の声に耳を傾けるよう政府に求めた。

 式典は台風11号(アジア名:ハーロン、Halong)の影響で強い風が吹く中で行われ、高齢になった被爆者やその親族、安倍晋三(Shinzo Abe)首相をはじめとする政府関係者、キャロライン・ケネディ(Caroline Kennedy)駐日米大使ら外国の代表者らが参列した。原爆が投下された午前11時2分、鐘の音が鳴り響くなか参列者全員で黙とうをささげた。

 田上市長は平和宣言で「核兵器のない世界」を次世代に引き継ごうと呼びかけ、「日本国憲法に込められた『戦争をしない』という誓いは、被爆国日本の原点であるとともに、被爆地長崎の原点でもあります」と指摘し、「その平和の原点がいま揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が、急ぐ議論の中で生まれています。日本政府にはこの不安と懸念の声に、真摯(しんし)に向き合い、耳を傾けることを強く求めます」と述べた。(c)AFP