米エボラ患者に投与の実験薬、「大量生産は困難」と専門家
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【8月6日 AFP】エボラ出血熱を発症した米国人患者2人が、「ZMapp」と呼ばれる実験薬を投与された後に快方に向かっていることが報じられた。ただ専門家はこの薬について、大量生産は難しく、現時点では有望な薬とは言えないと指摘している。
ZMappは、遺伝子組み換えタバコの葉の中で作られる3種類の抗体を含む血清。このタバコは成長するのに何週間もかかる。
報道によると、リベリアでエボラ熱患者の治療に携わっていたところ自身も感染したキリスト教系団体の米国人要員、ケント・ブラントリー(Kent Brantly)さんとナンシー・ライトボル(Nancy Writebol)さんは、ZMappを投与された後、ともに回復の兆候を示した。米国に帰国した2人は現在、米ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)の病院で隔離治療を受けている。
だが、米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases、NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は5日、AFPに対し、「この薬は現時点で際だって有望なものとは言えない」と語った。「動物実験の結果は非常に良く、2人の患者への投与は、この薬が望ましい効果を持つ可能性を示しているが、(投与されたのは)2人しかいないので、はっきりとした結論を出すには慎重になるべきだ」
ZMappは、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)の感染症予防・治療薬の開発企業マップ・バイオファーマシューティカル(Mapp Biopharmaceutical)と、同じくサンディエゴにありマップ社が開発した医薬品の商品化を手掛けるリーフバイオ(LeafBio)、カナダ・トロント(Toronto)の医薬品開発企業デファイラス(Defyrus)、そして米政府とカナダ公衆衛生庁の共同プロジェクト。
マップ社によると、ZMappは今年1月に治療薬の候補とされたが、人を対象とした臨床試験はまだ始まっていないため、「現在は非常に少量しか存在しない」という。ファウチ所長は「ある程度の量を生産するのでさえ数か月かかる」と指摘した。
西アフリカで発生しているエボラ熱の流行では、これまでに史上最多の887人が死亡している。エボラウイルスに対する治療薬やワクチンは現在の市場には存在しない。(c)AFP