【8月5日 AFP】タイの軍事政権は5日、「太陽が降り注ぐビーチと政治腐敗」が共存する架空の国でユーザーが自分の軍事独裁政権を築く内容のコンピューターゲームを禁止したと発表した。

「トロピコ・ファイブ(Tropico 5)」というこのシミュレーションゲームは、遠く離れた島でプレーヤーが自分の政権を作る内容。宣伝文句は「飢えがなく、すべての仕事の賃金がまっとうで、天気はいつも晴れている国──ただし投票はいつも『大統領閣下』に」とうたっている。

 タイ文化省のビデオ・映像局高官は、AFPの取材に対し「トロピコ・ファイブは禁止されたが、われわれの司令官の許可なくしてはその理由を説明することはできない」と回答した。

 ブルガリアのゲーム開発会社「Haemimont」が製作したゲームのタイ国内の発売元、ニューエラ・インタラクティブ・メディア(New Era Interactive Media)は、4日に文化省から国内販売を禁じる旨の通知を受け取ったとしている。

 同社のマーケティング担当は「ストーリーの一部がタイの現在の状況に影響を与えるからだろう」と述べ、どの部分が軍事政権を刺激する内容なのかは詳しく触れなかったが「プレーヤーが1国の指導者となって、国を動かす制度を選ぶことができる」と説明した。

 このゲームのウェブサイトでは、プレーヤーは「何もない『機会の地』を与えられ、そこにどんな政治理念でも、あるいはどんなに狂ったひらめきでも許される国を作ることができる」と説明されている。

 タイ文化省に関する権限は、5月22日の軍事クーデター以後、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)陸軍司令官が率いる軍事政権のナンバー2である海軍司令官が握っている。(c)AFP