【8月5日 AFP】凍えるような寒さの冬に、涼しすぎるほどの夏──現在、その寒い気候が、グーグル(Google)やマイクロソフト(Microsoft)といったテクノロジー大手の注目を集めている。大容量のサーバーを冷却するのにこの地域の気候が好都合なのだという。

 降り注ぐ太陽を求める一般的な観光客にとって、北欧のフィンランドはあまり魅力的ではないかもしれない。しかしハイテク業界に精通するライターのペッテリ・ヤルビネン(Petteri Jaervinen)氏は、「フィンランドの涼しい気候と退屈な社会がついに強みとなった」と話す。

 近年のネットの急速な普及とデジタル経済の台頭により、データストレージに対する需要はますます高まっている。だがこれら施設は多くの熱を発生するため、とりわけ夏の冷却には高いコストがかかる。つまり、フィンランドのような涼しい気候の場所にサーバーを置くことで、企業はそのコストを削減できるというわけだ。

 グーグルは2009年、ロシア国境にほど近いハミナ(Hamina)にある古い製紙工場を購入してデータセンターに改造した。サーバーの熱を除去するためにバルト海の冷たい水を利用するのだという。マイクロソフトも2013年、フィンランド北部に2億5000万ドル(約250億円)を投じてデータセンターを建設するプロジェクトに着手している。

 フィンランド政府は、バルト海の海底に全長1000キロの光ケーブルを新たに敷設し、さらなるIT企業の誘致を目指す考えを明らかにしている。低迷が続いたフィンランド経済にとっては、必要なカンフル剤といえるだろう。

 過去数年間のフィンランド経済は不況に陥っていた。そのため、最短で2015年に完成するフィンランドとドイツとを結ぶ海底ケーブルは、良いニュースを心待ちにしている同国の政治家らにとって朗報となりえるだろう。

 フィンランド国内には、鉄道に沿って7100キロにわたるケーブルがすでに敷かれている。これもデータ企業を誘致する際の大きな魅力となるだろう。

 現在、フィンランド以外の北欧の国でも、自国の気候を全面に押し出してIT企業を呼び込もうとする動きがみられはじめている。