【8月5日 AFP】ドイツのジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)副首相兼経済・エネルギー相は4日、ウクライナ危機を受けて、ロシア軍に軍事訓練施設を提供する計画を取りやめたことを明らかにした。

 ガブリエル氏は、同計画の許可を撤回したことを明らかにし、ドイツ政府が契約を白紙に戻すことを決定したという南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)の報道を事実だと認めた。

 ドイツメディアによると、契約では総額1億ユーロ(約140億円)でロシアの沿ボルガ(Volga)連邦管区に年間3万人の兵士を訓練する施設を今年中に開設する計画だった。

 この計画は今年3月、ロシアが一方的にウクライナ南部クリミア(Crimea)半島を併合したことを受けて留保されていた。受注したドイツの軍需企業ラインメタル(Rheinmetall)は同月、契約上の義務を果たして訓練施設を完成させる意向を示していた。

 今回の決定でドイツは先週末に欧州連合(EU)各国が合意したロシアに対する追加経済制裁より厳しい措置を取った形になった。

 EUの制裁はロシアへの武器輸出を禁止しているが、フランスがロシアと交わした12億ユーロ(約1650億円)規模のミストラル(Mistral)級強襲揚陸艦2隻の売却など、既存の契約は対象外としていた。

 ロシアへの揚陸艦売却について仏政府は1隻目の売却を進める方針を貫いており、ドイツや英国を筆頭に欧州各国から批判を浴びている。(c)AFP