【8月5日 AFP】世界的な指揮者の小澤征爾(Seiji Ozawa)さん(78)が総監督を務めてきた長野県松本市の音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(Saito Kinen Festival)」が来年から「セイジ・オザワ松本フェスティバル(Seiji Ozawa Matsumoto Festival)」に改称されることが4日、明らかになった。

「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」は92年から毎年夏に開催され、小澤さんは初回から総監督を務めてきた。がんを克服した小澤さんは同日、都内の日本外国特派員協会(FCCJ)で名称変更について記者会見し「一生懸命取り組んでいく。私がもうすぐ死にそうだという人もいるかもしれないが、そうならないよう全力を尽くしたい」と冗談を交えながら抱負を述べた。

 小澤さんは、ボストン交響楽団(Boston Symphony Orchestra)の音楽監督を務めた後、02年にはオーストリアへ移りウィーン国立歌劇場(Vienna State Opera)の音楽監督を務めるなど、その長きにわたる活動は国際的だ。近年は、2010年に食道がんの手術を受け、さらにその翌年にはヘルニアの手術を余儀なくされ、音楽活動を一時休止していた。

 ボストン交響楽団は20年前、新たに建設した定員1200人のコンサートホールに小澤さんの名を冠そうとしたところ、当の本人がそのオファーを断ったことがある。しかしその計画は変更されず、このホールは現在、「セイジ・オザワ・ホール(Seiji Ozawa Hall)」の名を冠している。今回、音楽祭の名称変更の話を受け「そういう時期が来たのかなと思った。昔はまるで墓のようで、自分の名を冠することに抵抗があった。『小澤征爾音楽塾(Seiji Ozawa International Academy Switzerland)』などを続けるうちに、慣れてきたのだと思う」と会見で語った。

 小澤さんはまた「けれど、私のようにがんで手術を受けた者が死について自由に語れるということは、回復したということに違いない」と述べた。(c)AFP