【8月4日 AFP】米国の生活様式を象徴する緑豊かな芝生の庭が、深刻な渇水に悩むカリフォルニア(California)州でやり玉に挙がっている──そんな中、自治体レベルでは庭をより「エコ」に改造するよう奨励する報奨金プログラムが雑草のように次々と出現しており、「魅力的な庭」に対する地元住民らの意識も変容しつつあるようだ。

 たとえばロサンゼルス(Los Angeles)市の「あなたの芝生をお金に換えよう(Cash in Your Lawn)」と題されたプログラムでは、芝生を撤去し、代わりに乾燥に強い植物や岩、砂利などを導入すると、1平方フィート(約929平方センチメートル)あたり3ドル(約300円)の報奨金が支払われる。最大6000ドル(約60万円)まで支払われるという。

「僕たちは砂漠に住んでいるんだってことを、みんな忘れているんだよ。中西部と同じ生活を目指す必要はないだろう」──自宅前庭の芝生をはがしながらそう語るのは、ロサンゼルス市在住のジャズ音楽家、ラリー・ホールさんだ。

 妻のバーバラさんも、より環境配慮型の庭に造り替えることを長年考えていたが、費用が高すぎて手が出なかったと話している。しかしこの報奨金プログラムによってようやく実現可能になったという。

 3年前から続く渇水に改善の兆しは見られず、州の人口3800万人に供給する水資源は危機的状況にある。当局も芝生への水やりを週2回までに制限する緊急の措置を講じている。

 造園業者「ゴー・グリーン・ガーデナーズ(Go Green Gardeners)」のアン・フィリップスさんは、今はかつて当たり前とされた米国式の庭を手放すときだと話す。

 フィリップスさんが提案する「よりエコな庭」では、大量の水を無駄遣いする芝生用スプリンクラーをやめ、水量が少なくてすむ散水設備を的確な場所に設置する。植えるのは多肉植物やハーブ類、ラベンダー、リュウゼツランなどだ。「エコな庭だからといって、退屈で魅力に欠けるドライな見た目となるわけではない」

 環境意識の向上と水道料金の高騰を背景に、ロサンゼルスの高級住宅地では「庭の砂漠化」がじわじわと広がっているようだ。(c)AFP/Veronique DUPONT